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渋谷駅周辺の人生の陰影 [徒然なるまま]

JR渋谷駅。
私を含めて多くの人が毎日通過する場所だ。渋谷と言えば若者で賑わう華やかなイメージがある。

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Hikarieなどで煌めく夜の渋谷:


しかし駅南口の高架橋下や宮下公園都隣の自転車置き場周辺には全く違った光景が拡がっている。

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(上)渋谷駅南口の国道245線の高架下

この場所周辺にホームレス(野宿者の記載にこだわる人たちもいるが、ここでは一般的呼称で進める)の方々が定着し始めたのは、宮下公園の開発時期と同期している。宮下公園にはホームレスの方々が定住しており、公園を利用しようとする区民からの苦情が絶えなかった。一般論としてそうした苦情があるのは理解できる。

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宮下公園から出された方々は現在公園下の駐輪場の横に仮設住宅のような状態で生活をしているようだ。土台がコンクリートになって安定したようだが、夏・冬の気温差には不利かもしれない。

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渋谷区は私企業の入札によって
公園の再開発を提案し実現。支援者による強い反対運動も実らずホームレスの方々は公園の住処を追われ、現在はスポーツなどが出来る施設が公園内に出来ている。実は駐輪場隣りに出来た彼らの建物数は宮下公園にいた居住者を超える。


(参照/公園からの移転に伴う経過を追ったブログ記事)
http://www.tanteifile.com/diary/2011/06/29_01/index.html
http://www.tanteifile.com/newswatch/2010/10/16_01/index.html

http://www.tanteifile.com/newswatch/2010/10/19_01/index.html



実は私の人生の中で、
30代中盤に仕事が行き詰まり、貯金の残額も心もとないほどになり、ホームレスになるんじゃないかもしれないという現実を覚悟した事がある。私の知り合いにも同じ感覚を持った人がいて、当時自営業だった私のような不安定な職種は皆不安感があったようだ。

幸いそれは実現しなかったが、そういう意味でも私にとってホームレスの方々は単なる負け組の成れの果ての人々ばかりとは思えない。ひょっとしたら彼等のいる場所に自分がいたかもしれないのだ。


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きっと様々な事情があったのだろう。現代はちょっとした事が生活環境を激変させてしまう時代だ。ちょっとした失敗で復活できず悪循環で落ちて行ってしまう時代に不安が募るからみんな護りに入る。
渋谷地域に密集するホームレスの方々の年齢層を見ていると、私とさほど変わらない年齢の方々が多い。
彼等の中には現在の私のように普通のサラリーマンだった人だっているかもしれない。

資本主義社会の中で様々な人生を歩んできて、上手く金銭に恵まれるような仕事をしてキャリアを積み上げて来た人々だけは、なんとなくそれらしい生活をしている。傍から見れば自分だってその一員かもしれない。

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突き詰めれば私たちとホームレスの人々の最大の境界線は「金」の存在だけとも言える。もちろん有金をギャンブルなどに散在して自業自得でホームレスになった人もいるだろう。

いずれにしても自立自活できるほどの金を持つ能力のない人々はホームレスになる運命が待ちかまえている。でもホームレスであることを積極的に受け入れている方々も存在する。

生活保護を受ければいいのに・・と言う人もいる。確かにそうだ。公的なホームレス支援は存在する。しかしホームレスの中には意識的にそれを拒絶する人もいる。故に自身の選択でホームレスになっている人がいるのも事実だ。また自業自得と言う人も多い。それも真実だろう。

私はホームレスの人々を見て、単純にお気の毒だな・・とも考えない。

ホームレスの中には現状を抜け出したいと考えている人だって存在するし逆もあるだろう。しかし彼らだけでなくても昨今は経済的敗者が再チャレンジするには現代は非常に過酷である。
勝ち組と呼ばれる人々の多くは成功と共に金をつかんでいる。
それは資本主義が理由じゃない。本来ならあり得ないが、共産主義国の中国だってとんでもない格差社会だ。思想原理的には格差のない国に格差がある現実。

残念ながら人間に限らず生物の生存には根本的な格差が出来てしまうというのが事実のようだ。人間はそれを知恵によって小さく出来るはずなのだが・・・。


私だって今の会社を追われたら再就職なんてままならない。多分ロクな仕事もないだろう。
40代の頭に失業してハローワークに行って驚いた。本当に収入に良い仕事の情報なんて実はハローワークなんかにはないのが私の認識だ。

50
歳近くなると、死ぬまでちゃんと生活することがこれほど大変なのか・・と実感する。年金問題だって社会保障だって若い頃とは比較にならないほど身近な問題だ。
そもそも50歳過ぎたら賃貸の部屋を探すのだって結構なハードルとなる。
それにあの大企業のシャープだって傾くような時代なのだ。
サラリーマンが自営業者並みに各人の成果を求められる時代でもある。でもそんなに誰しも高い能力ばかりの人材じゃない。全員が勝てる訳もないのだ。


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(上)身綺麗な彼はここの定住者ではないようだ。何かの事情で一時的にここにいるのかもしれない・・・。ダンボールだけが僅かな緩衝地帯だ。

渋谷にひっそりと暮らす彼等の姿を見て優越感も憐憫も感じる事はない。彼らと私の間にはちょっとした違いがあるだけだ。
残念ながら私には彼らを助けられない。
それどころか、ひょっとしたら今でも自分が何らかの事情でホームレスになってしまうんじゃないかという恐怖感すらある。
私が常々異常に不潔なトイレの夢を見るのはその恐怖の表れかもしれない。

その心理が彼等の存在に自然と彼らに目が向く理由かもしれない。
現代にはそうした言い知れぬ不安感を煽る何かが存在するし、渋谷には確実にそれがある。街を行く人々は一見幸せそうに見えてもそれぞれの事情があるのだ。東京にいるとそれが感じられる。

2012年10月10日記述。


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