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英会話信仰という宗教に陥っている経営者たち [徒然なるまま]

 

ユニクロ、楽天など英語が社員スキルの中核だと謡う企業が増えている。
TOEICでの高得点が出世の最低条件という企業も増えつつあるようだ。
その数は
2500社に上るようだ。
個人的に英会話は出来た方が良いと思っている。私は学生時代、英語が苦手科目だったが、音楽業界で働くようになり、外国人ミュージシャンとの仕事が増えたことで学ばざるを得なくなり26歳から英会話の勉強を始めた。英語学校に行こうと思ったが当時は給料も安く時間の制約もあり結局NHKラジオ英会話と映画で学ぶ事にした。多少習得に時間はかかったが結果的に英会話には困る事はなくなり、学生時代より飛躍的に英語が分かるようになった。必要に迫られた事が良かったのだろう。

さて、昨今の企業の英語要件は、とにかく英語が出来る=グローバル化という経営者が多いように見える。経営者によっては英語が出来ればそれで良いんだみたいな英語極右もいる。それならアメリカ人とイギリス人を中心に雇用すればいいんじゃないの?と思うほどだし、英語が出来る=グローバル化ならアメリカとイギリスが経済的にも能力的にもダントツであるはずだが、実際はそうなっていない。

過去に某大手電機メーカーで英語が出来る人間の採用が相次いだという。英語が出来る=グローバル化という名の下で数多くの帰国子女の採用を強化したのだ。結果はどうなったか。仕事の能力が低く、礼儀もわきまえない常識以前の連中の跋扈で社内環境が悪化したという。結局それ以降、管理職に最低限度の英語能力を問う制度を残して、こうした人事を廃止したという。
英語が喋れる=国際的に通用するという殆どたちの悪い宗教のような考え方は本質を見誤っている。英語圏の人間全員が企業社員として適切であるかといえばそうでないのは自明の理である。

言語はツールでしかない。従って人間性や業務スキルとは無関係だ。コミュニケーション能力や社会的マナー、また業務スキルが合った上で英語や他の言語などのツールが生きるという当たり前のことに大企業の経営者が気付かないというのは殆どジョークとしか思えない。

 

楽天は会議も英語でやり始めたが、結局非効率になったので一部解除したようだ。当然だろう。英会話は手段で目的じゃないのだ。
またTOEICの高得点者は意外とキチンと英語の会話の出来ない人間が多いというのは一般的に知られていないだろう。
TOEICでは会話の試験が必須ではないので会話能力までを計る事が出来ない。私に知る限りでTOEICが高得点で尚且つ英語がキチンと話せる人間は通訳をやっている人ぐらいだ。TOEICの得点は決して英会話の能力と比例しない事実を経営者は理解しているのだろうか?

後天的に英語会話を学ぶ際に最も苦労するのが会話能力の開発だ。特に発音の矯正は個人差があり、耳の良い人と悪い人では差が大きい。また昨今は声認識によるサービスが多いので、発音の悪い人は飛行機の予約もままならないのだ。
楽天社長の英語のスピーチを聞いた事があるが、正直余り上手部類には入らない。特にリズムと発音がチグハグなので何を言っているのか不明な部分が多い。それでもあの程度話せれば一定程度の会話をすることは可能なので、あれはあれで良いのだと思う。

三木谷社長が日本の英語教育の在り方に憤っている観点は私も同じだ。中・高の6年間や大学の4年間を入れれば10年の長きに渡る英語教育を受ける訳だがご存じのように殆ど誰も喋れない。もはや文科省の陰謀かと思うほどでもある。

そのため日本人で英会話が出来る人には独特なプライドを持った面倒な人がいる。英会話能力のある自分が他人より一段上にいると勘違いしている連中だ。企業が英語能力ばかりに目を向けて採用後に失敗したと感じるのはこうした連中の存在だろう。

 

正直言って、近い将来英会話に限らず語学能力なんていずれ一定程度が陳腐化する。
自動翻訳機はまだまだ開発途上だがちょっとしたコミュニケーション程度なら機械を介して出来る時代がそこまで来ております。それでも人間技を必要とするのは人間力に加えて会話力と語学能力が合体する事で初めて機械を通じて陳腐化する部分を凌駕出来る訳です。

 

私はまだ日本人の中にアメリカによる根深い占領体験があるんだと思う。英語を話せる日本人が凄く特別に見えるというのはアメリカに特別で複雑な感情がある裏返しなのだとも思っている。

確かに日本国内で英語を流暢に操れる人を見ると“おっ・・”とか思うし、周辺に英会話が出来る人間が少ないのも事実です。
そのため英会話が出来る人が重宝されるのでしょうが、世界規模で言えば数十億人が話せる言語で特に珍しい能力じゃないというのも事実なのです。

日本の経営者はそういう事情を加味しながら英会話という能力の評価をした方が良いと思います。

語学はただのツールで人格じゃないのです。


 

(参考)

http://gendai.ismedia.jp/articles/-/35580

 


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